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循環器病予防部門 循環器病・生活習慣病予防への取り組み

CIRCS研究について

Ⅰ.CIRCS研究について

1. 概要

脳卒中などの生活習慣病の予防法について詳しいことがまだわかっていなかった昭和30年代に、大阪府立成人病センター集団検診第1部 (元・大阪府立健康科学センター、現・大阪がん循環器病予防センター 循環器病予防部門)の医師らが開始した、日本を代表する循環器疾患の疫学研究です。当時、健康診断の技法がまだ確立 していなかった時期に、どのようにして病気を早期発見し、予防するかを明らかにするため、当時はまだ普及していなかった血圧、心電図、眼底、血液検査などを組み合わせた先進的な集団検診を開始しました。昭和38年から大阪府八尾市の一部(曙川・恩智・南高安地区)、秋田県井川町、本荘市(現・由利本荘市)の石沢・北内越地区が、さらに昭和44年からは高知県野市町(現・香南市野市町)、昭和56年から 茨城県協和町(現・筑西市協和地区)が加わりました。これらの地域では、大阪がん循環器病予防センター、大阪大学、筑波大学、愛媛大学等の 研究機関と協働で、一部の地域を除いて現在でも予防対策が続けられており、厳密に精度管理された各種の検査、生活習慣に関する調査、地域全体における脳卒中・心疾患(心筋梗塞、狭心症、心不全など)・認知症などの発症把握と疫学研究を継続して実施しています。こうした取り組みを通して、脳卒中の多発をはじめとする日本人の生活習慣病の特徴が、欧米とは異なることがわかり、日本人に適した予防法を 開発する必要があることがわかってきました。また、従来の基本健康診査や現在の特定健診などの健診制度の基本となる検査方式を確立する上で、研究の成果が大きく貢献してきました。

私どもの疫学研究の最大の特徴は、検査や調査に新しい技術を取り入れながら、住民の疾病予防、健康増進を第一の目的に据え、地域の保健事業の一環として実施してきたことです。健診や調査は、地域住民の健康維持・向上に実際に役に立つ内容とし、自治体の担当者 だけでなく住民の代表の方々や地元医師会などをはじめとする関係諸機関とも相談し、十分なコンセンサスを得たうえで、実施してきました。こうした保健事業の一環として、疫学研究を続けてきた経緯から、これまでは特定の名称を付けずに、地域の名前だけを示して発表してきました。

しかしながら、こうした保健事業の一環として実施されてきた研究であっても、時代の流れとともに、特定の名称をつけて研究の成果を 公表していくことが研究機関や行政から求められるようになってきました。そこで、これまでに実施してきた秋田県、大阪府、高知県、茨城県の地域における疫学研究を、現在の国の疫学研究指針にあわせて総括し、CIRCS(サークス:Circulatory Risk in Communities Study= 地域における循環器疾患のリスクに関する研究)と名づけました。そして、この研究の成果を専門雑誌等に公表した場合には、その内容が一般の方々にもわかるようこのホームページなどでその概要をお知らせすることにしました。

このCIRCSという名称は、“circus”(サーカス:いくつもの街路が集まる円形広場)と発音が似ており、研究者や住民が行政関係機関 などが“集い”、循環器疾患(Circulatory Diseases)の予防と研究を進めるという意味が込められています。

このようにCIRCSという名前が付けられることとなりましたが、これまでの取り組みの根本である「あくまでも実際の予防に役立つ研究を 行っていく」という考え方はこれからも守り続けていきます。研究は開始からすでに50年以上が経過しており、このような長期にわたる 複数地域対象の循環器疾患の疫学研究は、わが国には他にはありません。これからも、地域での予防対策の実践を通じて、日本人独自の 循環器疾患予防対策法を確立するための調査研究を続けていくとともに、この明らかになった知見を広く公表していきたいと考えています。CIRCSについて疑問点や不明点がありましたら、下記の研究事務局へお問い合わせ下さい。

※本研究の実施については、元大阪府立健康科学センター、大阪大学、筑波大学の倫理委員会の承認を得ております。

2.血液・尿を用いた分析について

CIRCS研究の追跡は、下記の地域で研究が続けられています。これらの地域にお住まいで、該当期間内に住民健診を受けたことのある方は、原則として 全員が研究対象者となっています。研究対象となっている方々については、将来予防に役立つ新しい物質が発見された場合に備えて、分析ができるように血液や 尿のあまりを凍結保存しています。そして、これら血液や尿の分析結果と、健康診断(栄養調査や特別検査を含みます)の結果、生活習慣病(脳卒中、心疾患、腎疾患、糖尿病、認知症など)の罹患や死亡に関する情報(いずれも主に市町村が保健事業として収集した情報で、CIRCS研究班も収集に協力しています) を組み合わせて、どのような人が生活習慣病になりやすいか、あるいはなりにくいかなどを明らかにするための研究を、保健事業の一環として行っています。

秋田県南秋田郡井川町 昭和38年~現在
大阪府八尾市南高安地区 昭和39年~現在
茨城県筑西市協和地区 昭和56年~現在
高知県香南市野市町 昭和44年~平成17年

研究が開始された当初は、現在のようなインフォームド・コンセントの考え方が浸透していなかったことや、研究が保健事業によって実施されてきた経緯から、研究の実施に当たっては、一人ひとりから書面で同意を得る方法を必ずしも採用しておりません。これらの研究の実施にあたっては、個人情報については厳重に 管理しており、健診受診者の方々に不利益が生じる可能性はまずありません。提供された情報は、病気の予防に役立つ分析を行っていく上で必要不可欠なもの ですので、今後ともご協力をお願いします。もし上記の地域にお住まいの方で、本研究の対象になることを希望しない方がおられましたら、下記へご連絡ください。対象から除外するなどの適切な対応を致します。

3.CIRCS研究事務局

大阪がん循環器病予防センター 循環器病予防部門
〒537-0025  大阪市東成区中道1-3-2

電話(代表)
  • 06-6973-3535
FAX
  • 06-6973-3574

E-mail(代表)

Ⅱ.CIRCS研究の成果

1.主な研究結果の紹介

表中の報告タイトルをクリックすると、詳細内容が表示されます。

報告タイトル 掲載論文
日本人中年期における糖尿病の有病率と循環器病にかかるリスク(1990年代から2000年代にかけての推移) Hayama-Terada M, Muraki I, Imano H, et al.
Diabetes Trend and Impact on Risk of Cardiovascular Disease in Middle-Aged Japanese People - The CIRCS Study.
Circ J. 2016;80(11):2343-2348.
慢性腎臓病の発症と血清アルブミン値および高感度C反応性たんぱく質(高感度CRP)値との関連性 Kubo S, Kitamura A, Imano H, et al.
Serum Albumin and High-Sensitivity C-reactive Protein are Independent Risk Factors of Chronic Kidney Disease in Middle-Aged Japanese Individuals: the Circulatory Risk in Communities Study.
J Atheroscler Thromb. 2016 Sep 1;23(9):1089-98.
ヘモグロビンA1c値と眼底出血リスクの関係 Umesawa M , Kitamura A , Kiyama M, et al.
Relationship between HbA1c and risk of retinal hemorrhage in the Japanese general population: The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS).
J Diabetes Complications. 2016 Jul;30(5):834-8.
アルコール摂取量と血管内皮機能障害との関連 Tanaka A, Cui R, Kitamura A, et al.
Heavy Alcohol Consumption is Associated with Impaired Endothelial Function :The Circulatory Risk in Communities Study ( CIRCS )
J Atheroscler Thromb. 2016 Mar 29.
スポット尿中ナトリウム濃度とその後の血圧変化について Umesawa M, Yamagishi K, Noda H, et al.
The relationship between sodium concentrations in spot urine and blood pressure increases: a prospective study of Japanese general population: the Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS).
BMC Cardiovasc Disord. 2016:16(1):55.
職域男性における乳製品の摂取と高血圧発症の関係 Umesawa M, Kitamura A, Kiyama M,et al.
Association between dietary behavior and risk of hypertension among Japanese male workers. Hypertens Res.2013;36(4):374-80.
井川町における循環器疾患予防対策の費用面からの検討 Yamagishi K, Sato S, Kitamura A,et al.
Cost-effectiveness and budget impact analyses of a long-term hypertension detection and control program for stroke prevention. J Hypertens. 2012;30(9):1874-9
軽症高血圧からの脳卒中発症者の割合が増加 Imano H, Kitamura A, Sato S, et al.
Trends for blood pressure and its contribution to stroke incidence in the middle-aged Japanese population: the Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS). Stroke. 2009;40(5):1571-1577.
高コレステロール血症者に対する教育プログラムの効果の検討-8年間の追跡結果- Iso H, Imano H, Nakagawa Y, et al.
One-year community-based education program for hypercholesterolemia in middle-aged Japanese: a long-term outcome at 8-year follow-up. Atherosclerosis 2002;164(1):195-202
脳卒中予防を目的とした高血圧対策の効果について Iso H, Shimamoto T, Naito Y, et al.
Effects of a long-term hypertension control program on stroke incidence and prevalence in a rural community in northeastern Japan. Stroke. 1998;29(8):1510-8
地域における高血圧対策を目的とした教育プログラムの実施とその効果 Iso H,Shimamoto T,Yokota K,Sankai T, et al.
Community-based education classes for hypertension control. A 1.5-year randomized controlled trial. Hypertension. 1996;27(4):968-74

Ⅲ.CIRCS研究関連サイト

循環器疫学サイト epi-c.jp
CIRCSトップページ ⇒ http://www.epi-c.jp/e014_1_0001.html

循環器疾患疫学の研究に関する話題、文献レビューを紹介するデータベースサイトです。
CIRCS研究の背景やトピックスも紹介されています。


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