循環器病予防部門 CIRCS研究報告
<報告>怒り表現と循環器疾患発症との関連
都市部に居住することは怒りに関連した循環器疾患リスクを増加させる可能性がありますが、未だ十分には検証できていませんでした。したがって本研究では、怒り指標として怒り表現を用いて、怒り表現と循環器疾患発症リスクとの関連が都市部と農村部とで異なるかを明らかにすることを目的としました。
CIRCS研究の都市部(大阪府八尾市南高安地区)及び農村部対象地域(秋田県井川町、茨城県筑西市協和地区、高知県香南市野市地区)において、1995年から1998年までに循環器健診を受診した40~79歳の男女5,936人(都市部:1,877人、農村部:4,059人)を対象としました。怒り表現はSpielberger Anger Expression Scale日本語版を用いて評価し、循環器疾患は脳卒中と虚血性心疾患と定義しました。Cox比例ハザードモデルを用いて、都市部と農村部ごとに循環器疾患発症に対する怒り表現のハザード比を算出しました。調整変数は性別、年齢、喫煙、飲酒、Body mass index、高血圧、糖尿病、高脂血症としました。
中央値16.6年間の追跡期間中、312件の循環器疾患発症(都市部:76件、農村部:236件)を認めました。都市部において、怒り表現と循環器疾患発症リスクとに有意な関連がみられましたが、一方で農村部では関連はみられませんでした。
この研究により、都市に居住する人において怒りに関連した循環器疾患リスクが増加している可能性が示されました。
この研究結果は、Psychosomatic Medicineという医学専門雑誌に公表されました。