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循環器病予防部門 循環器病・生活習慣病予防への取り組み

健康状態の実態と動向の調査、研究

1-2. 地域住民の健康状態と生活習慣病の罹患状況の動向調査

大阪府民の健康状態の実態を把握するためには、センターを受診された府民のみを対象としていたのでは不十分であり、実際に地域に出向いて、現地の住民の生活習慣や健康状態を把握することが必要である。われわれは、大阪府八尾市南高安地区を対象地区として、長期間継続して、脳卒中、心筋梗塞等の実態調査を行っている。

八尾市南高安地区の壮年男性住民において、近年、心筋梗塞の発生率が有意に上昇していることが明らかになった(図1)。心筋梗塞の発生率の上昇は、農村部ではいまだ認められていないことから、都市部である大阪独自の健康問題であると考えられる。この背景として、高血圧、高コレステロール血症等の危険因子を有する者の頻度が近年増加している(表1)ことから、これらのリスク因子に対する対策を早急に行う必要があると考える。

図1. 心筋梗塞の年齢調整発生率の推移(八尾市南高安地区 40-69歳)

図:心筋梗塞の年齢調整発生率の推移(八尾市南高安地区 40-69歳)

表1. リスクファクターの推移(八尾市南高安地区、男40-69歳、年齢調整)
  1964-66年 1976-79年 1984-87年 1992-95年 2000-03年 P for Trend
受診者数(人) 994 491 755 790 730  
年齢(歳) 53 55 54 56 58 < 0.001
最大血圧(mmHg) 135 135 132 131 132 < 0.001
最小血圧(mmHg) 80 81 80 84 85 < 0.001
降圧剤服用者(%) 5 13 11 10 11 < 0.001
高血圧(%) 38 39 33 38 41 0.43
BMI(kg/㎡) 22.5 22.3 22.7 23.3 23.8 < 0.001
血清総コレステロール値(mg/dl) 184 191 197 202 211 < 0.001
高コレステロール血症(%) 28 37 45 49 61 < 0.001
高トリグリセライド血症(%) - 14 17 17 22 0.001
高血糖(%) - - 17 24 22 0.02
喫煙率(%)   67 63 51 49 < 0.001
飲酒量、エタノール(g/日)   - 36 33 31 < 0.001

P < 0.05, †P < 0.01, ‡P < 0.001(直前の期間との比較)

  • 高血圧:SBP≧140mmHg and/or DBP≧90mmHg and/or 降圧剤服用
  • 高コレステロール血症:血清総コレステロール値≧200mg/dl and/or 治療中
  • 高トリグリセライド血症:血清トリグリセライド値≧150mg/dl(空腹時)≧250mg/dl(随時)
  • 高血糖:血糖値≧110mg/dl(空腹時)≧140mg/dl(随時) and/or 治療中

病気予防への取り組み