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循環器病予防部門 循環器病・生活習慣病予防への取り組み

健康状態の実態と動向の調査、研究

1-4. 地域住民主導の生活習慣病予防対策

人々のライフスタイルや価値観が多様な都市部では、行政主導型の生活習慣病予防対策には限界がある。そのため、住民が主体となった健康づくり活動を地域展開し、予防効果を挙げるという趣旨のもとで、1977年に八尾市南高安地区の成人病予防会が結成された。以後、当予防会は、自助、共助、公助を組み合わせた予防対策のモデルとして全国的にも注目されている。健康科学センターは当予防会の活動を支援している。

地区全体の脳卒中の発生率は、成人病予防会の発足以降の1980年代に大きく低下し、以後もその減少傾向が続いている(図1)。脳卒中発生の減少効果により、種々の統計からも、当地区は市全体と比較して、脳卒中関連指標が低い(良好である)ことが示された(表1)。 南高安地区での対策の成果は、八尾市衛生問題対策協議会や健康日本21八尾会議等で検討され、市全体の循環器疾患の予防施策の発展に貢献してきた。その結果、隣接する某市との比較では、八尾市の方が脳卒中の推定発症割合が少ないという結果が得られた(図2)。また、市全体の脳卒中医療費は隣接市よりも、年間約2億2000万円も少なく(図3)、全体の入院医療費も抑えられている(図4)。

また、所外健診の項で記載したように、地域ぐるみで健診を行っている南高安地区では、他地区に比べて健診受診率が高い、高血圧者やメタボリックシンドロームの割合が少ない、医療費が抑えられていること等が明らかとなった。

図1. 八尾市南高安地区の脳卒中発生率は1980年以降大きく低下

図:八尾市南高安地区の脳卒中発生率は1980年以降大きく低下

表1. 南高安地区では脳卒中が少ない
 
脳卒中死亡割合 南高安 77↓ 78↓
市全体 146 157
脳卒中入院割合 南高安 115↓ 119↓
市全体 139 132
寝たきり見舞金申請数割合 南高安 399↓ 1546
市全体 1007 1517

単位は全て人口10万人対/年

図2. 市全体でも隣接市に比べ脳卒中が少ない

図:市全体でも隣接市に比べ脳卒中が少ない

図3. 市全体でも脳卒中の医療費も少ない

図:市全体でも脳卒中の医療費も少ない

図4. 全体の医療費も増加が抑制されている

図:全体の医療費も増加が抑制されている


病気予防への取り組み