循環器病予防部門 循環器病・生活習慣病予防への取り組み
検査手法の開発と精度管理
2-2. 食事診断技法の開発
府民の食生活を正確に評価できる食事調査法(ゲンキープFFQ)を用いて食事診断を行った結果、肉・魚・油脂の摂りすぎ、穀類・いも・野菜の不足といった府民の食事バランスが大きく崩れていることがわかった(図1)。府民への食に関する正しい知識の普及と環境整備が必要である。また、内臓脂肪蓄積に関連する要因を検討した結果、男性の内臓脂肪面積には労働時間が長く、運動習慣がない、朝食をぬく、飲酒する、遅い夕食等の不規則な生活習慣が影響し、食事では穀類、肉類、油料理が多く、野菜や果物、豆類が少ない食事が影響していると考えられた(表1)。女性の内臓脂肪面積は年齢とともに増加し、運動不足や穀類、いも類の摂りすぎなどが影響していると考えられた(表2)。すなわち、内臓脂肪蓄積の予防・改善の指導には、性差ならびに生活習慣の相違を考慮しての指導が重要であると考えられる。
- 図1. 詳細な食事評価した府民の食品摂取の問題点
- 表1-1. 男性の内臓脂肪面積と有意な関係があった項目
-
相関係数 問診より 睡眠時間 -0.122 * 労働時間 0.172 ** FFQより 栄養素摂取量 摂取エネルギー量 0.202 *** たんぱく質摂取量 0.124 * 脂質摂取量 0.157 ** 飽和脂肪酸 0.113 * 多価不飽和脂肪酸 0.138 ** アルコールエネルギー 0.115 ** アルコールを除くエネルギー 0.138 ** 食品群別摂取量 肉類摂取量 0.169 *** 卵類摂取量 0.128 * 豆類摂取量 -0.106 * 果物摂取量 -0.127 * 穀類摂取量 0.145 ** 油脂類摂取量 0.176 *** 平均値の差(㎠) (有り群)-(無し群) 週一回以上の運動 -25.4 *** 朝食抜き 18.3 ** 遅い夕食 15.9 ** 果物毎日 -22.2 *** 大豆製品毎日 -18.2 *** 油料理毎日 13.5 * 味つけ濃い 13.8 * 乳製品毎日 -20.3 ***
- 表1-2. 女性の内臓脂肪面積と有意な関係があった項目(大阪府立健康科学センター ドック受診者433人)
-
相関係数 問診より 年齢 0.307 *** FFQより 栄養素摂取量 脂肪エネルギー比 -0.105 * 食品群別摂取量 魚介類摂取量 0.171 *** 穀類摂取量 0.128 ** いも類摂取量 0.118 * 平均値の差(㎠) (有り群)-(無し群) 週一回以上の運動 -13.4 * 満腹 9.2 * 魚介類週3以上 7.7 *
- 2. 検査手法の開発と精度管理
-
- 動脈硬化の測定技法の開発
- 食事診断技法の開発
- 正確な血清脂質検査技法の管理