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睡眠

良い睡眠とは?

良く眠った夜の次の朝は、自然に目が覚め、気持ちが良く、疲れが取れてさっぱりした感じがあるものです。「睡眠時間を削ると、目覚まし時計が何回鳴っても起きられない」「心配ごとがあると、何度も目が覚めてしまい、翌日も調子が悪い」といったことは、誰でも経験しており、「睡眠の量(時間)」「睡眠の質(ぐっすりと続けて眠れるか)」「睡眠のタイミング」の三つの観点から睡眠をとらえることが必要です。

1. あなたの睡眠時間は足りていますか?

日本人の睡眠時間は年を追うごとに短くなっています。こどもが塾やおけいこごとで、午後10時に電車に乗っている姿を見ることもありませんでした。こんなに睡眠時間が減っていって大丈夫なのでしょうか?

NHK放送文化研究所が5年に1回行っている全国調査でも、睡眠時間は着実に短くなっています。しかし、この中には、夜更かしをして遅くまでテレビを見たり、インターネット三昧であったり、実際には、睡眠を取ろうと思えばもっと眠れるはずなのに、ライフスタイルとして睡眠時間が短くなっている人やら、通勤時間が長かったり、残業が多かったりで、眠りたいのに眠る時間が確保できない人などさまざまな人が混じっています。

図:日本人の生活時間(NHK放送文化研究所全国調査)

NHK放送文化研究所編 「日本人の生活時間2000」より

多くの人が取っている睡眠時間には幅があり、1997年に実施された健康・体力づくり事業財団の調査では、6時間から7時間のところに集中しています。

図:日本人の生活時間(健康・体力づくり事業財団の調査)

20歳以上 2994名

まず、どの程度、睡眠の量が不足しているかを、次の「睡眠時間不足度チェック」で調べてみましょう。

睡眠時間不足度チェック
  • 起床時は、音の大きな目覚まし時計が必要(あるいは、必ず誰かに起こしてもらっている)
  • 朝、寝床から出るまで苦労する
  • 目覚まし時計の音に気づかず、時々そのまま眠ることがある(あるいは、起こされてもなかなか起きられない)
  • ビールなどアルコールを少し飲むとよく眠れる気がする
  • 週末など休みの日の前は、いつもより2時間以上長く眠る
  • 時々、以前より気力が無いと感じる
  • 細かな仕事や家事は、以前より手を抜くことが多くなった
  • 時々、知らないうちに居眠りをしている
  • テレビを見たり、本を読んだりしているときに非常に眠くなったり、居眠りをすることがある
  • 電車、バス等に1時間以上乗車すると非常に眠くなったり、居眠りすることがある
  • 多めの昼食(お酒抜き)を取った後、いつでも非常に眠くなったり、居眠りをすることがある
  • 何らかの集まりや講演会、会議の最中に眠くなることが多い
  • 車の運転中、うとうとして途中で2、3分休憩することがある
  • 日中にコーヒーや紅茶、日本茶などを4杯以上飲む
A.5個以下 だいたい適切な睡眠時間が確保できています
B.6~9個 睡眠量不足の傾向があり、注意力散漫になりがちです
C.10~12個 かなりの睡眠量不足で、仕事を丁寧にすることが難しくなってきます
D.13個以上 深刻な睡眠量不足の状態です

2. あなたの睡眠の質はどうでしょうか?

一晩の睡眠は、全体として、寝ついた最初のところで最も深く眠り、朝方になるほど浅くなっていきますが、一種のリズムがあり、深い眠りと浅い眠りを約90分のサイクルで4、5回繰り返しています。それぞれのサイクルの終わりには、「レム睡眠」と呼ばれる、異質な睡眠が出てきます。レム睡眠のときには、高率にいきいきとした夢を見ており、覚醒時と同じぐらい脳が活発に活動していることがわかっています。レム睡眠の持続時間は朝方ほど長くなるため、朝方に夢を見て目がさめたと自覚する人が多くなるのです。レム睡眠以外の睡眠は、ノンレム睡眠と呼ばれ、検査上、「深い」「浅い」の区別がつけられるのは、こちらの睡眠です。

一晩の睡眠経過図
図:一晩の睡眠経過図
睡眠時間不足度チェック
  • スムーズに入眠できる
  • 少なくとも前半の2時間弱は、ぐっすり眠れている
  • 後半は夢を見たり、うつらうつらとした感じがあってもよい
  • 中途覚醒が少ないか、途中で目がさめてもすぐに再入眠できる
  • 気持ちよく目覚められる(熟眠感やリフレッシュした感じがある)
  • 昼食後以外は日中に眠気がない

これに全部当てはまる人は、睡眠の質に問題がないと言えるでしょう。

なお、睡眠の質で睡眠の量(時間)を代用することはできません。つまり、質を良くすれば、睡眠時間を削れるというものではなく、あくまでも「自分にあった睡眠時間」が確保される必要があります。また、以下の項目が三つとも当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群のために睡眠の質が悪くなっている恐れがあります。後出の「いびきの話」を参考の上、専門の医療機関を受診されることをおすすめします。

  • 今までと同じように睡眠時間を取っているのに、以前ほどすっきり起きられず疲れが取れないとき
  • お昼すぎの時間帯以外の時間でも眠気が強く、休暇中に何日か続けて長めに睡眠をとっても、眠気が改善しないとき
  • 毎晩のように大きいいびきをかき、その合間に呼吸停止を目撃されているとき

3. あなたの眠っている時間帯は適当ですか?

日の出とともに起き、日没とともに眠る。人間には大自然のリズムに即した、ほぼ24時間周期の生体リズムが備わっています。この概日リズムによって、眠りやすい時間帯や能率が一番上がる時間帯が決まっており、このリズムを狂わせないように、一定の生活習慣でもって規則正しい生活を送ることも、良い睡眠を取るために必要なことです。概日リズムとして一番測りやすいものは体温ですが、体温を持続的に記録すると、たいていの人では、午後遅くの時間帯に最高点が、明け方前のあたりに最低点がきます。最高体温から最低体温に下がっていくスロープに一致する時間帯が、眠りやすい時間帯です。朝型の人、夜型の人という分類は、このリズムの個人差を反映していると考えられています。

体温リズムと睡眠時間帯
図:体温リズムと睡眠時間帯

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睡眠も年齢とともに変化します

一晩の睡眠経過は全体としては同じ傾向であっても、細部は年齢によって違っています。

子どもにおいては、前半に深いノンレム睡眠が多く出現し、中途での目覚めはほとんどありません。休みの日に子どもを連れて外出し、遅くなったときに、子どもが疲れて眠ってしまうと、なかなか起こすのが大変なのはこのためです。

若者でも、同様の傾向ですが、40歳台ごろから、浅い睡眠の割合が多くなります。「若いころほどぐっすり眠れなくなった」と感じられる方もこの年齢ぐらいから増えてきます。高齢者では、前半の最初のノンレム睡眠自体がやや浅くなり、度々短い覚醒が混じります。したがって、夜中に目が覚めるのも無理からぬことなのです。

また、年をとると、眠りにつく時刻も朝目が覚める時刻も早くなる方が多いようです。これは、概日リズムそのものが朝型にシフトしてくるためだと考えられています。

子ども
図:一晩の睡眠経過(子ども)
成人
図:一晩の睡眠経過(成人)
高齢者
図:一晩の睡眠経過(高齢者)

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悪い眠りの原因 -働きざかりの世代の場合-

一晩寝ても疲れが取れない、朝起きたときにすっきりしないといった訴えは、働きざかりの世代にも増えていますが、問題は睡眠の質ではなく量であることが多いのです。眠る環境が整えば十分眠る能力がある世代ですが、仕事や家事、育児などやることが多すぎて、睡眠時間を削っているのが実状です。2000年に行われたNHKの国民生活時間調査(調査有効数5053人)においても、30-40代における睡眠時間が一番短くなっています。

忙しいしいと、どうしても就寝時間が遅くなりがちですが、睡眠負債がたまるほど心身の疲れが取れにくくなりますので、できる限り睡眠時間を確保するようにしましょう。人生の一時期、それが不可能なこともありえますが、その場合でも休日の前日に夜更かしをしない、休日に早朝からの予定を入れないといった形で睡眠負債をためすぎないようにすること、どの程度の睡眠時間の不足が続くと、昼間に眠気がひどくなってくるのか自分の傾向を知ることの二つは非常に大切です。

さて、ある程度、睡眠時間を確保しても寝つきが悪いと感じる方がおられるかもしれません。その場合は、次のような原因が考えられます。

1. 不適切な睡眠環境

騒音、明るすぎる、温度や湿度が適切でない、枕やベッドなどの寝具が合わないといったことで寝つきは悪くなります。厳密に絶対これでないと眠れない基準があるわけではなく、自分でこのぐらいが一番良いというものを見つけるようにして下さい。

2. カフェイン、アルコール、ニコチンといった嗜好品

寝る直前にカフェインを含んだ飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶など)を取ると、脳の興奮を高め、寝つきが悪くなります。

「寝酒」という形でアルコールを眠るために飲まれる方がありますが、寝つきは良くしても、アルコールが身体から分解されて出ていく睡眠の後半で覚醒しやすくなり、睡眠の質を悪くします。

タバコに含まれるニコチンにも覚醒効果があるので、就寝前や途中で目がさめたときに吸うのは避けてください。

3. 不安や緊張

不安や緊張が強いと神経が高ぶって眠れないことがあります。これは脳や身体の活動を高める交感神経が優位になるからです。さらに、「よく眠りたい」と意識しすぎると、「よく眠れなかったらどうしよう」という不安につながり、逆効果になります。

4. 日中の運動不足

1日中ゴロゴロしていた日は、寝つきが悪くなりやすいので、昼間のうちに身体を動かし、ある程度疲労させておくことが大切です。ただし、就寝直前の激しい運動は、交感神経を興奮させ、かえって睡眠の妨げになるので要注意。

5. 不規則な生活リズム

極端な夜更かしを続けていると、概日リズムが遅い周期に固定され、早い目に眠ろうと思っても寝つきが非常に悪くなります。毎日の睡眠時間帯にあまりにも差がありすぎると、自分の概日リズムに合っている日は良く眠れても、そうでない日には眠りにくくなる可能性があります。

以上の3、4、5は、密接に関連しており、規則正しい、昼夜の活動のめりはりのついた生活を基本とし、夜は徐々にリラックスしてお休みモードに入っていく習慣をこわさないようにするというのが大原則です。

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悪い眠りの原因 -高齢者の場合-

「眠りたいし、眠るための時間もたっぷりあるが、眠れない」という訴えが増えてくるのは高齢者層です。「睡眠薬を常用している人の割合」を調べると、高齢者ほど多くなっており、長期にわたって不眠がちである人が多いことがうかがえます。

年齢とともに睡眠パターンも変わるため、若い頃に比べて眠りが浅い、中途覚醒が多いと感じる原因の一つには生理的な部分もあり、努力して「眠ろう」「眠らなければ」と思えば思うほど、脳が興奮して逆効果になりがちです。

自分の思うように眠れない原因としては、次のものがあります。

1. 不適切な睡眠環境

2. カフェイン、アルコール、ニコチンといった嗜好品

以上の二つについては、働きざかりの世代と同じような注意をして下さい
以下については、対応の仕方に工夫が必要です。

3. 不安や緊張

不安や緊張が強いと神経が高ぶって眠りにくくなるのは、世代にかかわらず共通しますが、高齢者の場合、その背後に持続的な不安やストレスがあることが増えてきます。例えば、「子どもの進学や就職」「老後の生活設計」「自分や家族の健康問題」が心配の種であったりすると、それを容易に取り去ることはなかなか大変です。そういった問題が一過性のもので、先が見えているのなら、時間とともに睡眠も回復しますが、1人で気持ちの整理ができず、眠れないことで日常生活に支障が出てきたときには、医師の指導のもと、睡眠導入剤や精神安定剤の助けを借りることが必要な場合もあります。

4. 日中の活動や刺激の不足

会社勤めをしていて引退された場合、仕事人間で過ごされてきた人の中に、毎日、どうやって過ごすか困られる方があります。主婦であっても、子どもや夫の世話をすることが急になくなると、自分のためにいかに時間を使うかは大きな課題です。人間の概日リズムは、外界からの刺激がなくなると鈍くなることがわかっており、光のみならず、日中に活動し、社会的な刺激を受けることも24時間のリズムを強化し、良く目覚め、よく眠るためには大きな役割を果たしています。

5. 身体的、精神的疾患

高齢者の場合、腰痛や関節痛といった慢性的な身体の痛み、咳、前立腺肥大症のための夜間頻尿(男性の場合)などが増えてくるため、夜間に目がさめやすくなります。眠りを妨げている原因疾患については、受診して相談するようにしましょう。そういった原因が思いあたらないのに数週間から数ヶ月不眠が続く場合は医師に相談しましょう。その場合、各病院の睡眠外来など、できるだけ睡眠の専門機関を選ぶことをお勧めします。

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良い睡眠衛生上の重要性 -生活習慣病の予防と治療のために-

睡眠時間を削ると眠くなり、能率も悪く、気分も良くないことは明らかにされてきましたが、睡眠(量)不足が身体機能にどのように影響するのか、まだ十分にはよくわかっていません。しかし、最近、米国の研究者により、睡眠時間を削ると耐糖能が低下して血糖値が増加する、さらには、レプチンという食欲をコントロールする体内の物質が低下して食欲が増し、体重が増加することが報告されました。肥満をどうコントロールするかが、多くの生活習慣病の予防と治療のカギであり、健康な生活のためには、栄養や運動だけではなく、睡眠も重要な役割を果たしているのです。

1. 睡眠衛生とは

睡眠衛生とは、一言で言ってしまうと「良い睡眠を得るためになすべきこと」です。

「良い睡眠を取るひけつ」としてまとめてみました。

睡眠と覚醒とはコインの裏表のような関係にあるために、昼間に十分に活動し、刺激を受けてきちんと覚醒しておくことが、良い睡眠につながり、うまく眠れると、その結果、さっぱりと目覚めることができます。また、概日リズムを24時間にきちんと合わせていくためにも、規則正しい生活を送ることが重要になってくるのです。

2. 食事・運動と睡眠との関連

会社員であれば、通勤時間が長いために“遅寝早起き”になり、朝食抜きで夜に過食という状況も珍しくありません。ストレス解消のための遅い時間帯のアルコール常用は、カロリーオーバーや肝機能障害につながるのみならず、睡眠の質も悪くします。また、昼間に運動量が少ないと余計に眠気を感じ、そもそも眠いと運動することもできず、缶コーヒーやスナック類を知らず知らずに多くとり、体重がさらに増えていく側面もあるものと考えられます。

したがって、肥満、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、肝機能障害といった身近な生活習慣病へ対応していくためには、食事や運動のみならず、睡眠衛生をうまく取り入れることが必要です。

良い睡眠をとるひけつ
1. 就寝前のリラックスと睡眠への脳の準備
  • 就寝間近の激しい運動は避け、心身を興奮させない
  • 就寝間近に緊張を強いる仕事をしない。また、心配事をいろいろ考えない
  • 就寝間近の入浴はぬるい目に。身体を温め、リラックスできる事を目標に
  • 寝る前にはいつもと同じ行動パターンをとり、慣れ親しんだ環境で就寝する
2. 薬物・嗜好品に注意する
  • 眠るためにお酒を利用しない(アルコールは入眠を助けるが、後半の睡眠の質を悪くする)
  • コーヒーやお茶のなどのカフェインを含む飲み物はできるだけ控え、夕方以降は飲まない
  • 夜のタバコを控える
3. 良好な睡眠環境の整備
  • 自分にあった寝具を工夫する
  • 静かで暗く、適当な室温湿度の寝具環境
  • 寝つけないときや、途中で目がさめたときに時計の文字盤が見えないようにする
4. 生体リズムの規則性の確保
  • 規則的な睡眠スケジュールをとる。中でも毎朝決まった時刻に起きることが一番重要
  • できるだけ午前中に太陽の光を浴びる(午前中の光は、早寝早起きパターンに導きやすく、夕方以降の光は遅寝遅起きパターンをつくりやすい)
  • 軽い運動を毎日行う。ただし、夕方以降は激しい運動をしない
  • 状況によっては、お昼過ぎに時間を決めて短時間(30分くらい)の昼寝をすることが効果的な場合もある

3. 食事・運動・睡眠と生活習慣病との関連

高齢者の場合、腰痛や関節痛といった慢性的な身体の痛み、咳、前立腺肥大症のための夜間頻尿(男性の場合)などが増えてくるため、夜間に目がさめやすくなります。眠りを妨げている原因疾患については、受診して相談するようにしましょう。そういった原因が思いあたらないのに数週間から数ヶ月不眠が続く場合は医師に相談しましょう。その場合、各病院の睡眠外来など、できるだけ睡眠の専門機関を選ぶことをお勧めします。

図:食事・運動・睡眠と生活習慣病との関連

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良い睡眠衛生は子どものときから

睡眠について、今最も心配されるのが、子どもたちの生活習慣です。24時間営業のコンビニやファミリーレストランで、深夜に幼児の姿を見かけることも珍しくなく、子どもたちの遅寝と睡眠(量)不足が進行しています。3歳児の過半数は夜10時を過ぎても起きており、東京民研学校保健部会の調査では、小学校6年生の6%、中学3年生の66%の就床時刻は午前0時過ぎとなり、小学生の訴えのベスト3は、あくびがでる(62%)、ねむい(58%)、横になりたい(47%)となっています。こういった子どもたちは、まさしく生活習慣病の“予備軍”と言えるでしょう。

図:子どもたちの生活習慣

このように際限なく子どもたちの夜更かしが進行しているのは国際的にみて日本だけだと言われています。小さいころから過密スケジュールに慣らされていたり、だらだらとテレビやインターネットのために夜遅く起きる習慣がついてしまうと、おとなになってから取り返しのつかない状態につながることが懸念されます。睡眠の問題は、おとなのみならず、子どものころから始まっているのです。

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いびきについて

1. いびきの原理

呼吸をするときに空気が流れる道すじを気道といいます。大きく呼吸をしてみると、多くの人は、自分の呼吸音が聞こえるはずですが、これは、気道には空気が通りにくくなる場所(気道抵抗がある場所ともいいます) があるからです。眠りにはいると、身体の筋肉の緊張がゆるむので、舌(下あごに入っている大きな筋肉です)がのどの奥に落ち込み、空気の流通が少し制限されます。このときに気道抵抗がある場所で乱流が起こり、そこで大きい振動や摩擦の音が発生します。この音がいびきで、どの部分で乱流が起こるかによって違った音のいびきになります。

お酒を大量に飲んだり、寝る前に飲んだりしたときは、いびきをかきやすくなります。アルコールには、筋肉をより弛緩させるという作用、さらに粘膜を腫れさせるという作用もあるため、鼻がつまりやすくなることも加わるからです。

同じ原理で、睡眠薬をのんだときにもいびきをかきやすくなります。睡眠薬にも、筋肉を弛緩させるという作用があるからです。

図のようにあお向けになって眠ったときには、舌がのどの奥に落ち込みやすくなって、気道がより狭くなります。したがって、横向きで眠るといびきはかかないが、仰向きのときにはいびきをかくという人がいるのです。

図:いびきの原理

2. いびきをかきやすい人

図のように、気道のどこかに障害物があれば、いびきをかきやすくなります。

つまり、扁桃腺が大きい人、軟口蓋が下がっていて口蓋垂が大きい人は、のどの奥に障害物があるわけですから、その部分で乱流が起こりやすくなっています。下あごが小さい、下あごが後退している人も舌を保持するスペース不足で、舌が落ち込みやすくなり、いびきをかきやすいでしょう。

体重が増えると脂肪がついて首周りが太くなりますが、その場合、のどの中や舌にも脂肪がついて、気道が狭くなり、かつ舌が落ち込みます。したがって、若いころはやせていたのが、社会人になって酒を飲むようになり、不規則な生活で夜に過食することによって太っていくと、いびきをかく中年男性になっていくわけです。

女性の場合、更年期までは少々太っても、女性ホルモンの作用で筋肉の緊張が保たれ、男性ほどいびきをかかないことがわかっています。

3. いびきは健康に影響するのでしょうか?

いびきが大きいからといって必ずしも身体に悪いわけではありません。ときたま酒を飲んだときだけかく、疲れたときだけかくといったような、因果関係がはっきりしている人では、多くは問題にならないものです。ただし、いびきが毎晩のように起こり、非常にその音が大きい人、聞いていて苦しそうに思えるいびき、いびきが急に止まり、静かになって10秒以上呼吸がとまっていたかと思うと、また大きな呼吸を再開する場合は、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。いびきをかく人全員が閉塞型睡眠時無呼吸症候群というわけではありませんが、大きないびきをかく人で、以前に比べ睡眠時間は同じなのに眠った気がしない、睡眠を削っているわけでもないのに日中の眠気が強いという人は、専門施設を受診することが必要です。

おわりに
睡眠は、からだとこころ(脳)の回復に必要な活動状態であり、無駄な時間ではありません。誰でも経験的に「心配事があると眠れなくなる」「風邪気味だったが早い目におふとんに入ってぐっすり眠ったら、良くなった」「一晩眠ったら、あれほど夜にくよくよ考えていたことが、それほど重要とは思えなくなった」といったことは知っており、気持ち良く眠れている限り、睡眠についてあまり意識しないものです。お日さまとともに眠り、お日さまともに起きる生活ができれば、多くの睡眠の問題は解決してしまうことでしょう。しかし、現代社会は、良い睡眠を取るのに不利な条件がそろっており、その中でどのように眠っていくのか、社会全体が考えなければならない時期に来ています。食事や運動といった生活習慣と同じく、睡眠にも目を向けるようにしていきましょう。

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気になる病気・健康のこと