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子宮がんについて

子宮がんについて

子宮がんのできる場所
図:子宮がんのできる場所

子宮がんには、子宮の入り口近く(頸部)にできる頸がんと、子宮の奥のほう(胎児の入るところ-体部)にできる体がんがあります。

わが国では子宮がんのほとんどが頸がんで、入り口に近いところにできるため、発見もしやすく、治療もしやすいがんです。子宮がん検診は通常、この頸がんを発見するために行われます。

しかし、子宮体がんも近年増加の傾向にあり、特に閉経前後に発病することが多いので、この年齢の方は特に子宮からの異常出血に注意し、子宮体がん検診も併せて受けましょう。

子宮がんの危険因子とは

頸がんでは、

  1. 若年の性交
  2. 妊娠、出産
  3. 多数の男性との性交
  4. 不潔な性行為

が発病の危険性を高めます。

体がんは閉経後にできやすく、肥満や高血圧、糖尿病の方で危険性が高く、頸がんとは逆に未婚、不妊、少産でリスクが高くなります。

パピローマウイルスとは

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの99%に認められ、子宮頸がん発症の重要な一因子とみなされています。HPVは性交渉により感染する性感染症の一つで、若年時の性交や多数の男性との性交で子宮頸がんの危険度が高くなるのは、HPV感染の危険が高まるためと考えられます。

しかし、大多数のHPV感染は自然に治癒しがんの原因とはなりません。また、HPV感染は子宮頸部の前がん状態をもたらしますが、これが直ちにがんになるものではありません。さらに、これらの前がん病変は検診で容易に発見され、比較的簡単な治療で完治しますので、専門医に相談してください。

子宮がんの症状

子宮頸がんでは、がんが粘膜内にとどまっているうちは、ほとんど無症状ですが、まれに白色や黄色、血の混じったおりもの、性交渉時の出血や痛み、などの症状が出ることがあります。がんがさらに広がると、ピンクや暗赤色のおりものや出血が多くなります。

子宮体がんで最初にあらわれるのは、不正出血や、月経過多です。この症状を、閉経前後の生理不順と思って見過ごすことがあるので、注意が必要です。閉経前後や50歳以上の女性で、これらの症状がある方は、直ぐに婦人科で体がん検診を受けましょう。

子宮がん検診の検査法とは

細胞診

子宮頸がん検診では、細い棒のような器具で子宮頸部や頸管を軽くこすって細胞を採取し、体がん検診ではループ状の内膜擦過器具で細胞を採取します。その細胞をスライドグラスに塗布し染色後、顕微鏡で異常細胞がないか調べる方法です。子宮がん検診では、この細胞診でがんの疑いがないか調べます。

子宮頸がん細胞診の分類と考え方
扁平上皮系
ベセスダ分類 従来のクラス分類 内容 指針
NILM Class Ⅰ
Class Ⅱ
異常なし
炎症あり
もし結果がNILMだったら異常はなし
定期検診だけで大丈夫
ASC-US Class Ⅱ
Class Ⅲa
軽度病変の疑い 精密検査:HPV検査または細胞診再検
ASC-H Class Ⅲa
Class Ⅲb
高度病変の疑い 精密検査:コルポ、生検
LSIL Class Ⅲa HPV感染
軽度異形成
HSIL Class Ⅲa
Class Ⅲb
Class Ⅳ
中等度異形成
高度異形成
上皮内がん
SCC Class Ⅴ 扁平上皮がん
腺細胞系
ベセスダ分類 従来のクラス分類 内容 指針
AGC Class Ⅲ 腺異型または
腺がんの疑い
精密検査:コルポ、生検、頚管および
     内膜細胞診または組織診
AIS Class Ⅳ 上皮内腺がん
Adenocarcinoma Class Ⅴ 腺がん
other malig Class Ⅴ その他の悪性腫傷 精密検査:病変検索
HPV検査とは
子宮頚がん検診の一助として新しく登場したのがHPV検査です。この検査では細胞にヒ卜パピローマウィルス(HPV)の遺伝子(DNA)がないか、あった場合にはDNAを調べて、発がんしやすい高リスク型HPVか、ほとんど、がんを引き起こさない低リスク型HPVかとうかをチェックします。ASC-USのような軽度病変が疑われる場合に、HPV検査を追加すると役に立ちます。ASC-USのような異型細胞が出ていても、高リスク型HPVが陰性であれば、将来的にがん化する確率が低いことがわかっています。このHPV検査は、一部に健康保険が適用されています。

日本産婦人科医会編「子宮がん検診手帳」より

検診でNILM以外の診断をされた方は、精密検査が必要です。また、精密検査で異常が指摘された方は、治療や経過観察が必要です。主治医の指示に従って下さい。

体がん検診の細胞診の判定は、陰性・疑陽性・陽性の3つに大別され、疑陽性と陽性の方は、精密検査が必要となります。

コルポスコープ

子宮頸部の精密検査では、コルポスコープという装置を用いて、子宮腟部を拡大して観察します。肉眼では見えないわずかな異常を発見できるため、ごく初期のがんを発見したり、がんと紛らわしい病変を見分けたりできます。

組織診

子宮頸部のコルポスコープ検査でがんの疑いがある部位は、切除用の器具で3-5ミリ程切り取ります。また体部細胞診が疑陽性以上の所見である場合は、細い金属製のキュレットという器具で体部全面より内膜をとり、顕微鏡で組織を調べます。組織検査では、細胞自体の変化に加え、がんの診断にとって非常に重要な情報である組織構築や細胞の配列(並び方)を観察します。

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子宮がんの進展

子宮頸がん

子宮頸がんはその進展で0期からⅣ期までに分けられます。細胞診のクラス分類とは全く違うものですので、注意して下さい。

臨床進行期分類(日産婦1997, FIGO 1982)
<0期>

図:0期

粘膜内にとどまっているがんです。

上皮内がんとも呼ばれ、最も初期のがんです。

治療は、単純子宮全摘術または、病巣だけを円錐状に切り取り子宮を残す子宮頸部円錐切除術が行われます。またレーザー治療が可能な場合もあります。

<Ⅰ期>

図:Ⅰ期

子宮頸部に限局したがんです。

がんが粘膜から基底膜を破り、浸潤を始めたものです。しかし、がんの広がりは子宮頸部に限られます。

治療は、病変の浸潤の深さやリンパ節等への広がりによって、単純子宮全摘術が行われる場合、準広汎子宮全摘術といって、子宮に加え腟壁を少し切除する場合、子宮に加え、両側卵巣、骨盤リンパ節、子宮周囲組織、腟などまで広範囲に切除する広汎子宮全摘術が必要な場合があります。浸潤の深さが数ミリにとどまる場合は、レーザーによる円錐切除も可能です。

<Ⅱ期>

図:Ⅱ期

がんが子宮頸部を越え、骨盤内に広がるものです。また、腟の下1/3まで及んでいないものです。

治療は主に、手術が行われます。広汎子宮全摘術といって、子宮のみならず腟の一部、附属器を含め広範囲に切除する必要があります。

<Ⅲ期>

図:Ⅲ期

がんが骨盤壁まで達したものです。または、腟の下方1/3まで達したものです。

治療は主に放射線療法が行われます。再発防止に化学療法が効果を発揮する場合もあります。

<Ⅳ期>

図:Ⅳ期

がんが膀胱や直腸まで広がったもの。または他の臓器に遠隔転移した場合です。

治療は主に放射線療法が行われます。再発防止に化学療法が効果を発揮する場合もあります。

子宮頚癌取扱い規約(1997年)より改変

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子宮体がん

子宮体がんも頸がんと同じくその進展で0期からⅣ期までに分けられます。

臨床進行期分類(日産婦1983, FIGO 1982)
0期 子宮内膜異型増殖症、上皮内癌
組織所見が悪性を疑わせるが決定的ではない
Ⅰ期 癌が子宮体部に限局する(子宮峡部を含む)これを2群に分ける
  Ⅰa期 子宮腔長が8cm以下のもの(8cmを含む)
Ⅰb期 子宮腔長が8cmをこえるもの
Ⅱ期 癌が体部、および頸部に及ぶ
Ⅲ期 癌が子宮外に広がるが、小骨盤腔をこえていない
Ⅳ期 癌が小骨盤腔をこえるか、明らかに膀胱または直腸の粘膜を侵す
  Ⅳa期 膀胱、直腸、S状結腸または小腸などの隣接臓器に広がったもの
Ⅳb期 遠隔転移にあるもの

子宮体癌取扱い規約(1996年)より

子宮がんの治癒率

子宮がん5年生存率

図:子宮がん5年生存率

子宮癌登録委員会第30回治療年報:日産婦誌, 45:275,1993

がんの治癒率は、5年生存率を用いて評価します。

図で示されるように、子宮がんは頸がん、体がんとも、早期に発見すればするほどよく治ります。0期では100%完治します。Ⅰ期でも90%近く完治します。早期発見の重要性、定期検診の必要性が解りますね。


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