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ストレスについて -ストレスとは?ストレスと病気の関係について-

1. ストレスって何でしょうか?

日常生活の中で、“ストレス”という言葉は気軽に使われています。例えば、「最近ストレスがたまっている」とか「運動でストレス発散しよう」など様々な場面でストレスという言葉が用いられています。では、このストレスとういう言葉はいつから使われるようになったのでしょうか?

元々“ストレス”という言葉は物理学で使われていて、「外からかかる力による物質の歪(ひず)み」のことを意味していました。人では、カナダのセリエ博士が1936年に“ストレス学説”を発表したことから、医学の世界でもこの言葉が使われ始めました。医学的には、外からの刺激に対するからだやこころの反応のことを“ストレス反応”と呼び、その反応を生じさせる刺激(ストレスの原因)のことを“ストレッサー”と呼んでいます。一般に言うストレスはこの両方の意味を含んでいます。

図:ストレス反応

2. ストレスからくる主な病気のあれこれ

ストレスはたくさんの心やからだの病気に影響します。

図:ストレスからくる主な病気

ストレスと循環器疾患(心筋梗塞、高血圧、脳卒中など)

運動はどうして必要なのでしょうか?

日本人男女73,424人を自覚的ストレスの程度によって分け、その後約8年間経過観察した結果、高ストレス群では低ストレス群に比べて、脳卒中で亡くなるリスクが女性で約2倍、心筋梗塞で亡くなるリスクが女性で約2.7倍、男性で約1.6倍であることが報告されました(Iso Hら, 米国Circulation誌, 2002年)。

ストレスは血圧を上昇させたり、血液を固まらせやすくしたりすることで、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくすると考えられています。

ストレスで血圧はどのくらい高くなるのでしょうか?

血圧は通常日中が高く、夜間に低くなるという変動パターンを示します。中には血圧が変化しやすい人もいます。

図に42歳男性(公務員・町役場勤務)の勤務日における血圧の動きを示します。血圧が高い時間帯がありますが、このとき何をしていたのでしょうか?考えてみましょう。

最大血圧値の1日の変動(勤務日)
図:最大血圧値の1日の変動(勤務日)
【答え】
正解は「会議中」でした。仕事中の血圧は仕事以外の血圧に比べて高くなりやすいことが知られています(最大血圧値で10~20mmHg程度高くなります)。特に、会議での発言中、車の運転中、荷物を運んでいる時などに血圧値は高くなる場合が多いようです。
仕事以外で血圧が高くなるときはどんなときでしょうか?

図はある48歳男性の休日における血圧の動きを示しています。血圧が高い時間帯がありますが、このとき何をしていたのでしょうか?考えてみましょう。

最大血圧値の1日の変動(休日)
図:最大血圧値の1日の変動(休日)
【答え】
正解は「パチンコ中」でした。ゲーム等に熱中しすぎるときに血圧が高くなっている場合があります。野球の応援などでも過度に興奮しすぎると血圧を上昇させる場合もありますので、注意しましょう。ストレス解消のつもりが、逆にからだにとってストレスになっている場合もあるようです。

3. ストレスと「うつ」

ストレス予防に効果がある栄養素として正しいのはどれでしょうか?
  1. ストレスとうつとは関係がない
  2. ストレスがなければうつにはならない
  3. うつは誰にでもおこる可能性がある
【答え】

正解は「3」でした。ストレスが多い人ほどうつになりやすいことは知られていますが、ストレスを自覚していない人でもうつになることがあります。大阪府内の勤務者・地域住民7,962人について自覚的ストレスとうつ症状との関係をみた結果からは、ストレスを自覚している人ほどうつ症状を訴える頻度が多くみられましたが、ストレスをほとんど自覚していない人でもうつ症状を訴える人がいました。例えば、仕事中心の生活をおくってきた人の退職後や子供が独立した後の主婦など、一般にストレスが減っていると考えられる場合でも、うつが起こることがあります。また、結婚や昇進など本人にとって喜ばしいことであっても、うつが起こるきっかけになることもあります。一生涯のうちにうつになる頻度は5~15%程度と報告されており、うつは誰にでもおこる可能性があるといえます。

図:一生涯のうちにうつになる頻度

参考)大阪府内の健診受診者7962人中、自覚的ストレスが(おおいに、かなり)ある人の割合

「うつ」と病気との関係

自殺者の7割以上がうつを伴っていると報告されています。また、最近ではうつは様々な身体症状や疾患と関係することがわかってきました。例えば、うつが続くと脳卒中や心筋梗塞などの病気にかかりやすくなること、それとは逆に、脳卒中や心筋梗塞になったのをきっかけにうつになる例があることが知られています。また、頭痛、腰痛、めまい等の症状が続いているときに、実はうつが隠れている場合があること、さらに、高齢者の場合、物忘れが急にひどくなるなど認知症*を疑わせる症状の原因がうつであることがあります。これらの場合、うつの治療で腰痛などの症状や認知症のような症状がよくなる例もあります。

認知症
記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活に支障が生じる状態で、原因はさまざまです。
ストレスが関係するこころの病気

ストレスがたまると次のような病気になることがあります。

Ⅰ. うつ病、うつ状態
気分がひどく落ち込む、興味や楽しみがもてない、気力がなく、何をするのにも億劫である、考えが浮かんでこない、マイナス思考などの状態が続くことを「うつ状態」といい、これらの状態が2週間以上続くものを「うつ病」といいます。うつの症状は、朝がひどく、午後から夕方になると軽快する特徴があります。また、気持ちの落ち込みだけでなく、不眠または過眠、食欲減退や過食、疲労感など身体の症状が出る場合も多くみられます。「うつ病」はよく、“こころの風邪”といわれており、誰にでも起こりうる病気です。
Ⅱ. 不安神経症、パニック障害
突然、動悸が激しくなり、息苦しさ、冷や汗、めまい感などが起こり、このまま死んでしまうのではないかという強い不安・恐怖を感じる病気がパニック障害です。一生涯で100人あたり2、3人はこの病気にかかると報告されており、比較的よくみられます。人によっては、電車に乗れない、外に出られないような症状が出る場合があります。
Ⅲ. 適応障害
環境の変化や仕事や生活上のストレスの多い出来事などが原因となって起こり、日常生活になんらかの支障をきたすものをいいます。環境の変化やストレスの原因から3ヶ月以内(通常は1ヶ月以内)に、うつ気分や不安感などの情緒的な障害、動悸やふるえなどの身体症状、ときに乱暴な言葉が出てしまうといった行動の障害など様々な症状がおこりえます。適応障害は個人的素因がある程度関連すると考えられていますが、ストレスがかかる大きな出来事があれば、誰でもかかりうる病気です。また、適応障害が続くと「うつ病」など、他のこころの病気になる場合もあります。
Ⅳ. PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)
通常では起こることのない様な出来事(暴力事件やテロ、災害など)が、自分や身近な人に起こることがきっかけで発症します。この出来事をトラウマ体験といいます。PTSDはトラウマ体験後、通常6ヶ月以内に、再体験(原因となった外傷的な体験が、意図しないのに繰り返し思い出されたり、夢に登場したりします)・回避(体験を思い出すような状況や場面を、意識的あるいは無意識的に避け続けるという症状)・過覚醒(交感神経系の亢進状態が続いていることで、不眠やイライラなどが症状としてみられます)などが出現し、この症状は1ヶ月以上続き、その苦悩により社会機能が低下します。ASDの場合、PTSDと類似した症状の他、注意力が低下しぼーっとする、感情が乏しくなる、現実感がなくなる、トラウマ体験を思い出せなくなる等、解離性症状に特徴があり、症状は、通常トラウマ体験後4週間以内に出現し、2日~4週間以内に消失すると考えられています。
Ⅴ. 摂食障害
ダイエットやストレスなどがきっかけとなり、食行動の異常を主な症状とする、若い女性に多い病気です。女性では生理がこないことを理由に婦人科に受診し、摂食障害が発覚することがあります。「食べられない」「食べたくない」などの理由から、食事量が低下し体重減少をきたした状態の、俗に言う拒食症と、「食べ過ぎてしまう」「食べずにはいられない」といった過食症の主に2つの型に分かれますが、拒食症から過食症へ症状が移行する場合もあります。日本人女性における青年期から若年成人期の摂食障害の頻度は2~4%と推測されており、近年では過食症の頻度が増えているのが特徴です。例え過食症であっても、むちゃ食い後に無理に嘔吐したり、下剤や浣腸などを使用する場合、体重は正常範囲内の人も多く、周りの人が気付かないうちに症状が進むこともあります。
Ⅵ. アルコール依存症
アルコール依存症は、次の3つの特徴がある病気です。1つめは自分でお酒の飲み方をコントロールできない「精神的な依存」、2つめはお酒がきれると離脱症状(頭痛、イライラ、手の震え、せん妄など)がでる「身体症状」、3つめは飲み続けることでお酒に強くなり、次第に酔うために必要な量が増す「耐性の形成」です。悪化すると、人格の変化や身体的な障害により死に至ることもあるほか、家族にも精神的な障害を生じさせることでも問題となっています。
Ⅶ. 身体表現性障害
内科的・外科的な検査では説明できない様々な身体的な症状が持続するのが特徴です。症状が強い場合は、日常生活に支障をきたすこともあります。以下の例のように病像によっていくつかの分類が行われています。
様々なからだの不調や障害を訴えますが、実際にはからだの病気ではない「身体化障害」、ささいな症状から特定の病気におびえたり、病気ではないかと過度に心配する「心気症」、ある部分に強い痛みが持続する「疼痛性障害」、声がでない、皮膚が熱くうずくなど、感覚の異常や運動の麻痺が起こる「転換性障害」など。

4. ストレスは人生のスパイス

「ストレスが全く無くなったら楽だろうな」って考えたことはありませんか?でも、ストレスって本当に悪いことばかりなのでしょうか?

次のような逸話があります。ある人がストレスの研究者であるセリエ博士に「ストレスを感じたことのない人間はいますか?」と尋ねたところ、博士は「いますよ。よろしかったら、これから会わせてあげましょう」と答え、すぐ近くの墓場に案内したといいます。ストレスを感じないのは死者だけなのです。

実は人間にとって、良いことも悪いことも、大なり小なりストレスになります。しかしながら、同じストレスでも自分の考え方や対処によって、良いストレスになったり、悪いストレスになったりする場合があります。例えば、他人から自分の欠点を指摘されたとします。気分が落ち込んで何もかもやる気がなくなってしまう人もいますし、自分の欠点を積極的に修正しようとする人もいます。すなわち、ストレスを受けることで現在の自分を見つめ直したり、新しいことを始めるきっかけになることもあるのです。

セリエ博士は「ストレスは人生のスパイスのようなもの」と言いました。ストレスを上手にコントロールすることで、人生をより豊かにすることができるでしょう。

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さあ実践しよう!ストレスと上手くつきあうこころとからだづくり

ストレスで起こる病気の予防のための10か条。

【第1ヶ条】自分のストレスを知っておきましょう

ストレッサー(ストレスの原因)が多くないかどうか、あてはまるものを選んでみましょう

過去1年を振り返ってみて

  1. 仕事や生活環境の大きな変化(転職、退職、引越し、事故、盗難など)があった
  2. 人間関係の大きな変化(結婚、出産、離婚、家族の死亡など)があった
  3. 経済的にかなり困難な状況(収入の減少、借金など)があった

過去1ヶ月を振り返ってみて

  1. 仕事(または家事)でやらなければならないことが多すぎる
  2. 1日中いつも仕事(または家事)のことを考えていなければならない
  3. 仕事(または家事)の環境(騒音、照明、温度、換気など)がよくない
  4. やりたくない仕事(または家事)が多い
  5. 職場、家庭、近所等の人間関係で悩むことが多い

あてはまる数が多いほどストレッサーが多い状態と考えられます。

「はい」を選んだ数が0~2個だと、ストレッサーは普通または少ないほうです。

「はい」を選んだ数が3個以上の場合、ストレッサーは通常に比べて多いと考えられます。

ストレスの影響がこころやからだに出やすくなっている場合もありますので、ストレスを適度に発散し、休養をきちんととるように心がけましょう。

ストレスを受けやすいタイプかどうか、あてはまるものを選んでみましょう
  1. 仕事や作業はきっちりやらないと気がすまない
  2. 責任感が強く何事にも積極的に取り組もうとする
  3. 人から何か頼まれると断れないことが多い
  4. うまくいかないと自分を責めてしまうことが多い
  5. 人に気配りをするほうである

あてはまる数が多いほど、うつになりやすいタイプと考えられます。うつは、几帳面で、人づきあいがよく、仕事もできるタイプの人の方がなりやすいといわれています。自分がうつになりやすいタイプの場合、うつの初期症状を見逃さないようにし、早めに対応するようにしましょう。また、ストレスの原因をできるかぎり減らすために信頼できる上司や友人に相談をしたり、がんばり過ぎないこと、しっかり休養をとることなど、うつにならないような生活習慣を心がけましょう。

ストレスがかかりやすい時期とその種類を知っておこう

長い人生の中で、いつも同じようなストレスがかかるわけではありません。図に示しますように、年代等によって様々なライフイベントがあり、そのためかかるストレスに違いがありますので、それを知っておくことが大切です。

図:ストレスがかかりやすい時期とその種類

心身の疲労がたまっていないかどうか、自分にあてはまるものを選んでみましょう

A~Eのアルファベットに書かれたコメントを参考にしましょう。

図:心身の疲労がたまっていないかチェック

A
ストレスコントロールはよくできていると思われます。
ただし、ストレスの影響を自覚しにくい場合がありますので、定期検診は必ず受けましょう。
B
ストレスコントロールは比較的できていると思われます。
不安・緊張感や身体症状などが持続する場合は、自分にあったリラクゼーション法を行いましょう。
C
ストレスコントロールがやや不十分の可能性があります。
心身の疲労をためないように、普段から十分な休養をとるようにしましょう。
また、自分にあったリラクゼーション法を行い、普段からストレスコントロールを行うようにしましょう。
D
ストレスコントロールが不十分で、うつ症状が出ている可能性があります。
まずは十分な休養をとり、それでも症状が持続するときは専門医(精神科、心療内科)に相談ください。
E
心身疲労が持続している状態です。
うつが強く疑われますので、専門医(精神科、心療内科)に相談してください。

【第2ヶ条】からだの管理をしっかりと行いましょう

ストレスの影響を受けやすい人

ストレスはからだの弱い部分に影響することが多いと考えられています。例えば、同じストレスを受けたとしても、血圧が上がったり、お腹が痛くなったり、肩がこったりと、出てくる症状は人によって様々です。また、図は健診時の血圧値とその後の脳卒中発症との関連をみたものですが、健診時の血圧値が高くなるほど脳卒中発症の危険度が高くなることがわかります。ストレスで血圧が上がるのは前述のとおりですが、同じストレスの影響を受けたとしても、最大血圧値が120mmHgの人の血圧が上がる場合と、最大血圧値が160mmHgの人の血圧が上がる場合では脳卒中の危険度はかなり違ってきます。したがって、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、胃腸疾患等、元々からだの病気を持っている人の方が、ストレスの影響を受けやすいと考えられます。

図:ストレスの影響を受けやすい人

大阪を含む地域住民11608人を15.5年間経過観察した結果、血圧値が高いほど脳卒中の発症率が高いことがわかりました。

健診を受けることの大切さ

ストレスが原因でおこるこころやからだの病気を予防するために、自分のからだでストレスの影響を受けやすい部分を知っておくこと、そして、自分のからだの健康をしっかり守ることが大切です。しかしながら、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病は、初期には症状がないのがほとんどです。したがって、定期的に健診を受診して、このような疾患を早期に発見することが必要です。また、健診等で異常を指摘された場合、症状がないからといってほうっておかず、生活習慣に気をつけ、主治医に相談するようにしましょう。

身体的な病気や薬にも注意しましょう

イライラの原因が甲状腺機能亢進(こうしん)症であったり、急に怒りっぽくなった原因が脳腫瘍(しゅよう)であったり、他の病気が精神症状を引き起こす場合があります。また、甲状腺機能低下症、脳下垂体機能低下症、全身性エリテマトーデスなどの膠原(こうげん)病でもうつを併発する場合があります。さらに、身体的な病気を治療中の人で、治療中にうつ症状が出てきた場合には、自分の薬にも気を配る必要があります。副腎皮質ホルモン剤やある種の高血圧の治療薬等では薬の副作用として症状が出てくることもあります。いずれの場合も、症状を我慢したり勝手に内服を中断したりせずに、主治医に相談することが大切であり、それが症状回復の近道です。

【第3ヶ条】生活習慣に気をつけましょう

ストレス予防のための食生活
ストレス予防に効果がある栄養素として正しいのはどれでしょうか?
  1. ビタミンA
  2. ビタミンC
  3. ビタミンD
【答え】
正解は「2」でした。ストレス予防に効果がある栄養素としてビタミンCは代表的なものです。ストレスがかかるとビタミンCが大量に消費されてしまいます。ビタミンCをたくさん摂ることで、ストレスに対するからだの抵抗力が高まると考えられています。ビタミンCは野菜や果物に多く含まれています。国民栄養調査で1日あたりの野菜摂取量をみると、大阪府の平均は253gにとどまり、全国平均(292g)から39gも少なくなっています。都市化が進む大阪ですが、たとえばキクナ(シュンギク)の生産量は全国有数ですし、フキ、ミツバも有力産地です。また果物ではブドウやイチジクも多く栽培されています。子どもの頃から地元でとれた新鮮な野菜をたっぷり食べる習慣をつけることが大事でしょう。
また、ビタミンB12は神経に働いて、うつ予防に効果があることが報告されています。
ビタミンB12を多く含む食材として正しいのはどれでしょうか?
  1. 野菜
  2. 米、パン類
【答え】
正解は「3」でした。ビタミンB12は魚介類に多く含まれ、その他肉類にも含まれています。また、魚介類に含まれる不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)にもうつ予防に効果があることが知られています。週に3回は魚介類を食べるようにしましょう。
定期的な運動を心がけましょう

普段から身体活動量が多い人や定期的に運動を行っている人では、うつが起こりにくいことが知られています。米国の疫学研究では、1,947人を5年間追跡して調べた結果、身体活動量が少ない人は多い人に比べて、うつが起こりやすいことが報告されました。しかしながら、疲労がたまっているときに、無理に運動を行ってもかえって疲れすぎてしまう場合もあります。運動後、汗がにじみ、さっぱりした気分になる程度の運動を定期的に続けることを心がけましょう。

【第4ヶ条】睡眠と休養を十分にとりましょう

健康な睡眠のために

誰にでも悩みや考えごとで「眠れない(不眠)」夜を過ごすことはありますが、それが長く続くと心やからだに影響が出る場合があります。「眠れない」だけではなく、種々の理由で「眠らない(睡眠不足)」人が増えています。「不眠」や「睡眠不足」は高血圧・糖尿病などの身体的な病気の原因になるだけではなく、イライラや集中力の低下、さらにはケアレスミスによる事故の原因になることが報告されています。無理をして睡眠時間を削るのは止めましょう。そして、以下の点に気をつけて、睡眠の量と質を十分に確保しましょう。

1. 朝および日中に十分な太陽の光を浴びましょう
太陽の光は、1日の体内リズムを整える役目があるといわれています。昼間(なるべく午前中)に日光をあびて、夜昼のめりはりをつけることで、1日のリズムを整えましょう。
2. 規則正しい生活と定期的な運動習慣をもちましょう
毎朝同じ時刻に起床し、1日3食のバランスのとれた食生活を心がけ、定期的に運動を行うようにしましょう(ただし夕方以降の激しい運動は寝つきを悪くする場合があります)
3. 快適な寝室環境を整えましょう
寝室の照明は、間接照明などを上手に活用し、適度に静かで暗い環境を整えましょう。自分に合った寝具を選ぶことも大事です。寝室の適切な温度については、個人差があるといわれていますが、極端な暑さ、寒さは避けるようにしましょう。
4. 就寝前のカフェインの摂取や喫煙は避けましょう
コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、ココア、健康ドリンクなどに含まれるカフェインは刺激物となり、睡眠を妨げます。眠りにくい人は夕方以降のカフェイン類を含んだ飲み物を控えましょう。喫煙は中枢神経系に作用して、睡眠を妨げるといわれています。健康のためにも禁煙をお勧めしますが、どうしてもできない場合でも、寝る直前や夜中に目覚めた時の喫煙は避けましょう。
5. 就寝前はゆっくりすごしましょう
入浴は、ぬるめのお湯(約38~39℃)にゆっくり浸かり、入浴剤やアロマテラピーなどを利用してリラックス効果を高めるとよいでしょう。
空腹や満腹も睡眠を妨げます。空腹時には消化の良い食べ物を軽く摂るのもよいでしょう。また、寝る直前の緊張するような仕事、興奮するテレビ・ビデオ等の視聴は避けましょう。
6. 過度の飲酒や眠るための飲酒はやめましょう
アルコールは寝つきは良くても眠りが浅くなったり途中で目が醒める等睡眠の質を悪くします。寝酒はやめましょう。
7. 就寝時間にこだわりすぎるのはやめましょう
眠ろうとすればするほど緊張して寝つけなくなることがあります。眠くなるまでゆっくり過ごすくらいのゆとりをもちましょう。
意識して休養をとることの大切さ

休養は、自分自身のエネルギー補給の時間です。仕事の合間のコーヒーブレイク、午後の仮眠、夕食後のリラックスタイムなどの時間をとることは、疲れをためないようにするだけでなく、仕事の能率を上げる効果があります。また、週末休んだにもかかわらず疲れがとれていない場合、長期間の心身の疲労がたまっている場合があります。心身の疲労はうつ病をはじめとするこころの病気や心臓病などのからだの病気と関連していますので、疲労が続く場合は自分の仕事や生活パターンを見直し、改善できるところがないかどうか考えてみましょう。

【第5ヶ条】適切なストレス解消法を心がけましょう

男性と女性のストレス解消法の違い

大阪を含む地域集団の男女6455人の日常生活におけるストレス解消法を調べたところ、男性では「???」を最も多く選んでいました。男性で多いストレス解消法を考えてみましょう。

男性におけるストレス解消法の頻度
図:男性におけるストレス解消法の頻度

男性のストレス解消法で最も多かったのは「酒を飲む」でした。少量の飲酒は心身をリラックスさせる効果がありますが、飲酒量が増えてくるにつれ、からだへ悪い影響が出るようになり、肝臓病、高血圧、脳出血、癌(がん)などの危険度が高まります。ストレス解消を目的に飲酒する場合は、適度な量を(日本酒換算で1日1合程度)、つまみを一緒に取り、楽しく会話をしながら飲むのがよいでしょう。タバコは癌(がん)や心臓病などからだの病気の原因になるばかりでなく、心の病気にも関係する場合がありますので避けましょう。

また、男性では3分の1の人は「特になし」を選んでおり、男性はストレス解消法をもたない人が多いようです。運動や趣味などによるストレス解消はストレスの影響を弱める働きがあることが知られていますので、ストレスがたまっている人は何かしら自分に合ったストレスの解消をおこなうようにしましょう。

しかしながら、ストレスがたまりすぎて、心身の疲労を強く感じる場合には、ストレス解消ですらストレスと感じることもあります。心身の疲労を感じる場合には、これ以上疲労がたまるようなストレス解消法は避けて、音楽を聴いたり、何もしないで横になるなど、心身の疲労を回復させるようなストレス対処を心がけましょう。

女性では、半数以上の人が「???」をストレス解消法に選んでいました。どんなストレス解消法かを考えてみましょう。

女性におけるストレス解消法の頻度
図:女性におけるストレス解消法の頻度

女性では、「家族や友人と話したり相談したりする」を選んだ人が最も多くみられました。「家族や友人と話したり相談したりする」を選んだ人はそうでない人に比べて、4年後に高血圧になる危険度が30%程度減少していました。それとは逆に、「食べる」を選んだ人はそうでない人に比べて4年後に体重が増え、高血圧になった人の割合が多くみられました。

全体的にみると、女性の方が男性よりも上手にストレス解消を行えている人が多いようです。

【第6ヶ条】気軽に相談できる家族、友人をもちましょう

ストレスを感じた時に、家族や友人に相談することは、ストレスによる心身への影響を弱める働きがあることが知られています。たとえ相談内容に対するよいアドバイスが得られなかったとしても、相談することで、心理的な安心感を得られたり、相談しているうちに、自分の頭の中でストレスの原因が整理できる効果もあります。普段から気軽に相談できる家族、友人、職場の上司・同僚を持つことが大事です。

また、これまでの疫学研究により、いざというときに力になってくれる家族や友人を持つことや、近所づきあい、子供の来訪の回数などが多いことが心臓病などの循環器系疾患の発症を予防することが報告されています。

逆に、自分が相談される立場になった場合は、あれこれとアドバイスするよりも、まず相談内容をしっかり聞いてあげることが大切です。心身の疲労がたまっている人や、気持ちが落ち込んでいる人に対して、「しっかりしろ」とか「がんばれ」などの励ましの言葉を安易に使うのは、かえって逆効果になることが多くみられます。話をよく聞いてあげるだけでも相手の心は癒(いや)されます。

【第7ヶ条】こころもからだもリラックスしましょう

こころとからだをリラックスさせることは、自律神経系、内分泌系、循環器系等に働いて、心身の安定、疾病予防、疲労回復等に効果があることが知られています。人によってリラックス法は様々ですので、自分に合ったリラックス法を見つけていきましょう。

【第8ヶ条】考え方を変えてみましょう

同じ環境で生活していてもストレスを強く受ける人とそうでない人がいます。その違いは物事のとらえ方、考え方にも影響される場合があります。

過去の嫌な経験を思い返してみた時に、「どうしてあんなことで悩んでいたのだろう」と感じたことはありませんか?こう感じるのはストレスが変わったからではありません。自分自身の考え方が変わった結果なのです。平均寿命は平成15年現在では、男性約78歳、女性85歳と発表されています。ストレスを上手くコントロールして生きるか、ストレスを抱えて生きるかは自分の考え方次第で変わる場合もあります。

考え方を変えると言っても、そう簡単に変えられるものではありませんが、毎日のちょっとした心がけ次第で変えていくことは十分可能です。

まずは「自分がどういうことに対してストレスを感じるのか」といった傾向を知ることが必要です。そのために日記を書くことはよく用いられている方法の一つです。ストレスを感じた事実に対して、どうしてそう感じたか、そのときどう対処したら良いかを書いていきます。日記というかたちでストレスの振り返りをすることで、冷静に自分自身の考え方を知ることができる上に、また同じようなストレスを感じた時に容易に対処できるようになります。改めて考えることで、実はそんなに悩むことでは無かったことに気が付くことだってあります。

日記を書くときにもう一つ試して頂きたいことがあります。ストレスを受けた事実に対する「良いこと探し」です。嫌な人や嫌なことにも、何か一つは自分にとって良いことがあるはずです。「良い面がある=無駄ではない」と思うことも、考え方をかえるのにとても役立ちます。

自分に自信がもてない人は、自分の良いところをできるだけたくさん(最初は数個から、最終的には100個を目指して)書き出してみましょう。これは自分自身の「良いこと探し」です。例えば、毎朝「おはよう」と声を出して挨拶するところ、ご飯を残さずに食べるところ、遅刻したことがない、走るのが速いなど、自分自身をよく見つめなおしてください。今まで気付かなかった自分に気付くことができます。

【第9ヶ条】1日1回は声を出して笑いましょう

笑うとストレスが減る?~健康落語道場の結果より~

昔から、「笑う門には福来たる」と言うように、笑うことが健康によいことは経験的に知られています。また、最近の研究では、よく笑うことがストレスホルモンを下げたり、免疫力を上げることが報告されています。

大阪府立健康科学センターでは、健康落語道場を開催し、落語前後の唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)を測定しました。これまでの結果、全体の約6割の人が落語の後でストレスホルモンが下がっていましたが、特に、普段から毎日声を出して笑っている人では、ストレスホルモンが下がっている人の割合が多くみられました。

また、大阪府内の企業従業員1600名に笑いについてのアンケートを実施した結果、毎日声を出して笑っている人の頻度は男性の約4割、女性の約6割程度でした。特に40~50歳台の男性では、週に1回も声を出して笑うことがない人の割合が約2割程度いました。声を出して笑うと自然と腹式呼吸になり、リラクゼーション効果が得られやすいと考えられています。普段から声を出して笑うことを心がけましょう。また、友人や家族との会話を増やすこと、テレビや寄席などで漫才、落語等をみることは笑う頻度を増やすことにつながります。無理に笑う必要はありませんが、笑う機会を増やすことを日常生活で工夫し取り入れてみましょう。

【第10ヶ条】人生の目標を持ちましょう

生きがいを持って人生をおくっている人、人生の目標を持っている人は、多少のストレスがあっても動じにくくなることが知られています。これは前向きな気持ちがからだの免疫力を上げるためと考えられています。

人間はいくつになっても成長することができるといわれています。どんな小さなことでもよいので、何か目標をもって毎日を生活することを心がけましょう。逆に、目標を決める際に、あまり高い目標を作るとそれが負担になる場合もあります。目標は何段階かに分けて、自分に合った(最初は実現可能な)目標を作っていきましょう。目標を一つ達成したら、何か自分にご褒美をあげるのもよい方法です。「がんばり過ぎず」「あきらめず」「したたかに」人生を楽しむようにしましょう。

ストレスはつき合い方によって「毒」にも「薬」にもなるものと考えられています。自分のストレスを知り、そのストレスと上手につきあうことは、こころやからだの健康を維持して、豊かな生活をおくるのに役立つことでしょう。

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